Camel, Macaque – Zoologist

Camel

調香師は Christian Carbonnel。今回のサンプルセットに含まれていた新しい Panda の調香師もこの人です。

最初にスパイスが一瞬広がったあとのドライフルーツがとにかく濃厚な香りです。香料に含まれるナツメヤシの実、デーツはアラブ諸国や北アフリカで重要な食料であり、干すとレーズンのようになり、実際ラクダの餌になることもあるそうです。第一印象から明らかにエキゾチックです。

そこから次第にミルラのまろやかさやシベット(だと思われる)の香りと混ざり合っていきます。ドライフルーツが目立つバランスから、徐々に少し濃い人肌の香りが増していくように変化していきます。ふっと香る際にドライフルーツを感じる時と、アニマリックを感じる時の両方があります。

実際にはラクダの香りというよりは、ラクダに乗る人の香りのイメージなわけですが、かなり甘さを感じる香りでありながらフローラルやシトラスとは明らかに違うので、これは男性でもいけそうな気がします。彫りの深い男性が甘めの香水を探しているのであれば試してみてもいいと思います。

Macaque

調香師は Sarah McCartney。

マカクはオナガザル科に含まれるサルのことで、バーバリーマカクがアフリカ北部にいることを除けば、全てアジアにいるのだそうです。現在ニホンザルはこの中では最北端に住むサルです。欧米的感覚でいうとエキゾチックなアジアのイメージを抱かせる動物なのかもしれません。

トップはグリーンアップルが広がりますが、すでに土と根っこの気配があります。ジューシーなグリーン感はすぐに落ち着いて、そこから濃い靄のようにバルサミックな香りが立ちます。シダーモスも相まって湿度のある深い森に入り込んだような気分です。

イランイランやティーなども角の取れた丸みのある印象があって、全体的にふんわりと漂うような香りです。目があうと威嚇したり、観光客の食べ物を奪ったりする暴れん坊のイメージというよりは、思慮深く理知的な森の賢者といった風情です。

どのへんが猿なのかとウンウン考えながら何回も試したので、もうサンプルが残り少なくなってしまいましたが、アジア幻想のなかに描かれる霊長類だと考えると納得です。

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